遺産分割の手続

遺産分割をする方法は、おおまかに協議」「調停」「審判の3つがあります。

遺産分割協議

協議は、相続人全員が話し合い、全員の合意によって遺産を分割する手続です。全員が一堂に会して話し合う方法以外にも、電話や手紙を使ったやりとりでもかまいません。相続人同士が直接話し合って遺産分割をするので、意見の対立がなければ迅速に遺産分割が終了する可能性があります。逆に意見の対立があると、容易な終結はのぞめないでしょう。

遺産分割で、相続人全員で合意ができた場合、「遺産分割協議書」を作成すべきです。遺産分割協議書とは、協議の最終的な結論を証明するための一種の契約書のような書面です。

遺産分割協議書は、遺産の中に不動産がある場合の登記、預金の名義書換、相続税の申告等に必要になります。また、作成しておけば、後から協議の蒸し返しがおきることを防ぐことができます。

遺産分割協議書の作成には様々な注意点があります。ざっと例をあげると、相続人の誰にどの財産が分けられたのかすべて漏らさずに書かれているか、現在判明していない財産が出てきたらどうするのか、印鑑は実印で印鑑証明書はあるか、住所は印鑑証明書の住所と同じかなどで、これ以外にも注意点はあります。このように多数の注意点があり、また協議内容の証明に関する重要な書面ですので、遺産分割協議書の作成には、弁護士などの専門家を関与させることが望ましいと言えます。

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遺産分割調停

協議で話し合いがまとまらない、あるいは協議そのものができない場合は、裁判所の手続で遺産分割することになります。裁判所を使う手続は「調停」審判です。

調停とは、裁判所で行う話し合いです。協議と異なるのは、家事審判官(裁判官)と調停委員という第三者が相続人の間に入るという点です。当人同士の話し合いでは何も進展しない場合に、第三者の意見を聞くことは日常でしばしば見られることですが、調停は裁判所がその第三者の役目を果たす手続と言えます。調停は、通常は家庭裁判所に調停の申立てをすることで開始します。

具体的な調停のやり方は、調停委員が関係者から事情を聞き、その事情を踏まえて、法的に正しく、社会的に妥当で、相続人の納得する案を示すという方法が採られています。もっとも、調停はあくまで話し合いですので、相続人が、調停委員の出した案に従うも従わないも自由です。

調停で相続人間に合意が成立すると、その合意の内容が調停調書に記載されます。調停が成立すると、それは確定した審判と同じ効力があります。調停調書の内容のとおりに登記をしたりすることが可能になります。

他方で、調停で相続人間に合意が成立しなかった場合、調停は不成立となり、自動的に審判になります。

遺産分割調停では、遺産の内容、相続人が誰か、特別受益、寄与分などの資料を収集し、裁判所に分かりやすく説明する必要があり、相続人本人が対応するのは難しいことが多いです。

遺産分割審判

審判は、協議や調停が話し合いでの解決を目指していたのと異なり、法律の専門家である裁判官が、問題となっている相続に関するすべての事情を考慮して、裁判官の判断で結論を出す手続です。

通常、調停で話し合いが不成立になった場合に審判になることがほとんどですが、いきなり審判を申し立てることも可能です。ただし、いきなり審判を申し立てた場合には、裁判所からまず調停をしなさいと言われることがあります。このときには、まず調停をしなければいけません。

具体的な審判のやり方は、個別のケースによって異なってきます。もっとも、自分の言いたいことは積極的に言うべきですし、証拠があるのならそれも裁判官に提示すべきでしょう。

裁判官が遺産分割の審判を出しますと、その審判の内容に添って遺産分割をすることができます。他方で、審判の内容に不服がある場合は、即時抗告という手続で、裁判所に審判を取り消すように求めることができます。

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遺産分割訴訟

遺産分割は基本的に協議調停または審判で決まります。しかし、誰が相続人なのか、あるいは何が相続財産なのかを巡って争いになる場合があります。もし相続人や相続財産が確定していないのに、無理やり遺産分割をした場合、その遺産分割は後から無効になる可能性があります。

協議、調停または審判の中で解決できれば問題ないのですが、中には遺産分割を開始する前段階で、相続人や相続財産の範囲を確定させる訴訟を提起する必要がある場合があります。相続人の範囲で問題となるのは、婚姻の取消しや養子縁組の取消しがあります。相続財産の範囲で問題となるのは、誰か他人の持っている財産が実は相続財産である場合などがあります。

どのような場合にどの手続をとれば良いかはケースバイケースで、常にこの方法がベストというものはありません。当事者の関係、これまでの経緯、いままでの判例など様々な事情が関係してきます。そのため、手続の選択は、専門家の意見を聞くことが重要になります。適切な手続を選択することで、早期の解決が可能になり、逆に間違った方法を選択すれば時間を無駄にすることになりかねません。手続の選択は慎重に行うべきです。

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